わたしがYouTubeの音声編集を担当したときに一番こだわったのは聴きやすい声でした。DAWを使ってYouTubeの音声を録音する方法は前回お伝えしましたが、今回はDAWを使わずに、YouTubeのナレーションにつかえる音声を録音していきます。
- DAWを使わないでNanoHostを使って録音する
- NanoHostでオーディオインターフェイスの音声を録音する
- NanoHostでマイクの音声を録音する方法
- DAWを使わないでVB-CABLEとNanoHostを使う方法
DAWを使わないでNanoHostを使って録音する
DAWは音楽を制作するために全ての機能が揃っているわけですが、YouTubeの音声を収録するなら全ての機能は必要ないと思います。個人的に必須だと思っているのは「コンプレッサー」です。音声の大きさを整えて聴きやすい音声にしてくれます。
このコンプレッサーだけを使って音声を録音するためにNanoHostというアプリを使います。
ダウンロードするとZIPファイルになっています。
ZIPファイルをデスクトップなどに展開しておきます。
次はコンプレッサーですが、初心者におすすめなのはこの「TDR Molotok」です。
「Windows(No Installer)」というファイルをダウンロードしてください。
TDR MolotokもZIPファイルになっているので展開します。
NanoHostでオーディオインターフェイスの音声を録音する
コンプレッサーは基本的にはDAWで使うエフェクターです。したがって、マイクはオーディオインターフェイスに通したダイナミックマイクやコンデンサーマイクで使う方が簡単に録音できるので先に解説します。
USBマイクやパソコンに刺すマイクは次に解説していきます。
TDR Molotokフォルダの「VST2>x64」にあるDLLファイルをコピーして、NanoHostのフォルダに貼り付けます。
そして「NanoHost64bit.exe」の名前を変更して「TDR Molotok.exe」にします。
これで「TDR Molotok.exe」を実行するだけでコンプレッサーが使えるようになります。
ではNanoHostを使ってオーディオインターフェイスから録音してみましょう。
わたしが使っているオーディオインターフェイスはSteinbergのお手軽な価格のもの。
マイクのプリアンプの評判がわりといい機種ですね。
マイクはダイナミックマイクの定番「SM58」を使って解説しています。
コンプレッサーのセッティングを決めていく
「Config>Audio Output Settings」で「ASIO」にします。
「ASIO」はオーディオインターフェイスをWindowsで扱えるようにするドライバのことで、現在使われているオーディオインターフェイスはほとんどASIOが使えるようになっていると思います。
次に「Stereo」になっている録音設定を「Mono」にします。
マイクの声を入れながら「THRESHOLD」のつまみを下げていきます。大きな声のときにちょっとメーターが動くくらいに設定するのがポイントです。
この「THRESHOLD」のセッティングが一番音質に影響しますが、だんだんわかってくると思います。
ちょっと音量が足りない場合は「MAKEUP」で音量を大きくします。
矢印で示したところに音量レベルが表示されています。一番大きな声をー5db〜ー10dbくらいに収めると適正な音量レベルになります。
これでコンプレッサーの設定ができました。
NanoHostで音声を録音する
「Recorder>Start Recording」で音声を録音します。
「Recorder>Stop Recording」で録音を止めます。
音声ファイルに名前をつけて保存します。
これで音声が録音できました。
詳しい説明は省略しますが、録音した音声をアナライザに通してみると、全く問題ないレベルの音質で録音できています。
NanoHostでマイクの音声を録音する方法
コンプレッサーを単体で使えるようにするNanoHostは基本的にオーディオインターフェイスで使うアプリです。パソコンに直接刺すマイクやUSBマイクの場合は、オーディオインターフェイスの代わりをする「ASIO4ALL」を追加で導入する必要があります。
ASIO4ALLがちゃんと使えるとは限らないので、もし録音できなければDAWを使って直接マイクの音を録音した方が簡単です。
それではASIO4ALLをダウンロードするところからやっていきましょう。
オフィシャルページの中ほどにある「ASIO4ALL」の安定版(ベータ版ではないバージョン)をダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを実行してインストールします。
インストールの注意点として「Off-Line Settings」にチェックを入れてインストールするようにしてください。
インストールできたら次はNanoHostを用意します。
ここまで順番に読んでいただいていれば、「NanoHost」と「TDR Molotok」のフォルダが解凍されている状態になっていると思います。TDR Molotokフォルダの「VST2>Win32」にあるDLLファイルをコピーします。
NanoHostのフォルダに貼り付けます。
そして「NanoHost32bit.exe」の名前を変更して「TDR Molotok.exe」にします。
これで「TDR Molotok.exe」を開くとコンプレッサーが使えます。
コンプレッサーのセッティングを決めていく
「Config>Audio Output Settings」で「ASIO4ALL」にします。
Buffer Sizeが1024になっていることを覚えておいてください。
次に「Config>Asio Control Panel」を開きます。
ここで自分が使おうとしているUSBマイク、もしくはパソコンのサウンドカードを指定します。
Buffer Sizeを1024に合わせたらウインドウを閉じます。
実際に声を入れてみてメーターが反応すれば完璧です。
次に「Stereo」になっている録音設定を「Mono」にします。
マイクの声を入れながら「THRESHOLD」のつまみを下げていきます。大きな声のときにちょっとメーターが動くくらいに設定するのがポイントです。
この「THRESHOLD」のセッティングが一番音質に影響しますが、だんだんわかってくると思います。
ちょっと音量が足りない場合は「MAKEUP」で音量を大きくします。
矢印で示したところに音量レベルが表示されています。一番大きな声をー5db〜ー10dbくらいに収めると適正な音量レベルになります。
これでコンプレッサーの設定ができました。
NanoHostで音声を録音する
「Recorder>Start Recording」で音声を録音します。
「Recorder>Stop Recording」で録音を止めます。
音声ファイルに名前をつけて保存すると、録音した音声が使えるようになります。
DAWを使わないでVB-CABLEとNanoHostを使う方法
NanoHostには録音する機能がついていますが、動画制作アプリにも録音機能があると思います。動画制作アプリなどでコンプレッサーを使った音声を録音したい場合は、NanoHostに加えて、VB-CABLEというアプリを使えば録音できるようになります。
こちらのページからWindows版をダウンロードします。
ダウンロードして解凍するとこのようにファイルが並んでいますが「VBCABLE_Setup_x64.exe」を右クリックして「管理者として実行」します。
このようなインストール画面になるので「Install Driver」をクリックします。
インストールが終わったら一度再起動します。
このVB-CABLEの基本的な使い方は別途解説しているので詳しく知りたい方は読んでみてください。
次にNanoHostをダウンロードします。
初心者にも使いやすいコンプレッサー、TDR Molotokをダウンロードします。
NanoHostとコンプレッサーの使い方は先に説明しているので、オーディオインターフェイスを使う場合と、USBマイクなどを使う場合を参考に設定してください。
NanoHostの音声をVB-CABLEでルーティングする
VB-CABLEをインストールしたので、マイク→NanoHost→VB-CABLE→録音するアプリという音声のルートを設定します。Windowsの設定の「システム>サウンド」で出力を「CABLE Input」にします。
これが最初にインストールしたVB-Cableのことです。入力はマイクのままで大丈夫です。
実際に録音するアプリでは、マイクの入力ではなくCABLE Outputを選びます。
これでマイク→コンプレッサー→CABLE Input→CABLE Outputとルーティングされることになるので……
コンプレッサーを通した音声を動画編集アプリなどで録音できます。